格闘技談議~八百長について~

これも最近(昔からかも)よく聞く言葉なんですけど、例えばブラウン管に出ている試合を見た人が
「これは八百長だ!」
と言っていたり
「こっちは八百長だけど、こっちはガチ(真剣勝負)だ」
とか話してます。

さて、皆さんはどう思われますか?
はっきり言って、この線引きは難しいものがあります。
結局は、対戦している本人しか事実がわからないからです。

……これで話が終わったらコラムでも何でもないので、ちょっと「ヤオ」(八百長)と「ガチ」(真剣勝負)のことについて書いてみます。

現実問題として八百長で興行を行っている団体はあると思っています。
ここで、格闘技の団体の名前を挙げて批判することは問題がありますので、団体名は載せませんが。

それと同時に、八百長興行でないと選手の体がもたないと思われる競技や、興行方法の所もあります。
それから、真剣勝負をやっている団体も多くありますが、その全試合が真剣勝負である……と言いきれることもできません。
要は、「真実は(選手)本人の胸の内」という話で、「ヤオ」「ガチ」の判断は一般大衆(観客)に委ねられることとなります。

ところが一般大衆に委ねられたこの問題が、結構白熱していたりする光景もよく見ます。
まぁ、こういうもの(白熱した議論)が好きな輩もいるでしょうから、それは別に構いませんけど、ある団体に所属している人が真剣勝負で戦っているのに「八百長」呼ばわりされると、面白くないでしょうね。
なので、「八百長」だと言っている人も、あんまりむやみに言って欲しくないものです。

「じゃぁ、どうしたら八百長かそうでないか判断するの?」と言う人もいるでしょう。
そこで、あまり役には立たないかもしれませんし、「そんなの知っているよ」という内容かもしれませんが、以下のことである程度の(八百長か真剣勝負か)判断がつくかと思います。

1.無防備

まずは、無防備な相手に対する対処の仕方で判断します。
ここで言う「無防備な相手」というのは、相手から受けたダメージで、いわゆる「でくの坊」状態になっている人を指します。

通常、その道のプロ同士が戦っているわけですから、無防備な相手を再起不能(またはそれに近い状態)にするのは簡単だと思います。
もしくは、その危険性が高いためにレフリーが止める・セコンドが止める……という行動に移るのが自然の流れです。

しかし、場合によってはそれを続行し、かつ効果的なダメージを与えられない状態は、ほぼ「八百長」だと考えて良いでしょう。

逆に、無防備だった選手が最終的に勝ったりすることもありますよね。
勝つだけの体力&気力があるのなら、絶対に無防備な状態になるわけないです。
これが真剣勝負だったら殺されてますよ、ホント。

2.攻撃の瞬間

これは、実写で見るとわかりにくいと思われますので、動画のスロー再生などで見る方が良いかと思います。
見るポイントは何ヵ所かありますので、箇条書きにして説明します。

『防御側』

まずは攻撃を受ける側ですが、攻撃されるどの位前にそれ(攻撃)に気付いているかという点です。

人間は、相手の攻撃を瞬時に判断して防御するという能力を持っています。
もちろん、個人差はありますが、プロ選手だと遅くとも0.5秒以内には対処できると思います。
ここで言う「対処できる」という表現は「攻撃を受けることができる」のではなく、「攻撃される部分を素早くダメージが少ない状態に持っていけるという意味です。

どういうことかと言うと、例えば顔面に攻撃されようとしたときに、攻撃が来るとわかった瞬間に顎を下にして額を前面に出すことでダメージを減らすという対処ができたり、腹部に攻撃を受けようとしたとき、瞬時に腹筋に力を入れるなどのことです。

以上の話を総合すると、相手の攻撃がわかる状態(時間内)であるにも関わらず、ダウンしたり大きなダメージを受けた場合は「八百長」の可能性も考えられます。
まぁ、これは試合の流れによっても変わってくるので一概には言えませんが……

『攻撃側』

次に攻撃する側ですが、これは攻撃スピードを見ると良いでしょう。

これもスローで見ないとわかりにくいと思いますが、初速(突きや蹴りを出す瞬間)より終速(相手に当たる瞬間)が目に見えて落ちている場合。
つまり、気合の割にはパワーが出ていない状態だと言えます。

まぁ、フェイントだったらわからないでもないんですけど、これでKOされたりするとちょっとおかしいと思って良いでしょう。
これも、100%八百長ではないですが、目安にはなると思います。

『筋肉』

これは、素肌が表面に出ている割合が多い方がわかりやすいのですが、通常相手に攻撃を加える場合、瞬間的な筋肉の動きがあります。

上級者は特にそうだと思いますが、打撃の瞬間に筋肉が硬直します。
なので、個人差は若干ありますが、筋肉の硬直が少ない場合、威力も減少する傾向があるので、これも目安になるかと思います。

ただし、人によってはあまり(見た目には)わからない場合もありますので、動画などで通常の攻撃時の筋肉の動きを観察するのも良いかと思います。

3.当たる場所

これは逆の話になりますが、相手に軽く当たっただけなのにダウンしたり、かすった程度のように見えたけどダウンしている光景を見て「八百長だ」という人も多いようです。

確かに、あれくらいで相手は倒れないよ……と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
立技系の場合、KO(ノックアウト)を引き起こす要因として「脳が揺れる」という現象があります。
これは頭部への強い打撃でもなりますが、それ以外でも起こり得ます。

どういう要因かというと、頭部への表面的な打撃(かする程度でも可)で、かつ頭部に回転力を及ぼす場合。
ちょっと難しい表現になりましたが、当たる場所と力の方向によって、同じ力でもKOできる場合とできない場合があるということです。

上記現象は、頭部以外でも可能です。
腹部への打撃も、当たる場所と角度によっては、力が弱くてもKOできます。
反対に、強い打撃でも防御体勢ができている・当たる場所が相手の強い(耐えられる)場所であればKOに至りません。

このように、「何か八百長っぽい」と思われる現象も、きちんとした理由があるものも多いです。

4.蓄積

3の内容に続きますが、戦いの中で今までの(相手の攻撃による)ダメージの蓄積も考えられます。
特に打撃系のローキックなどはダメージの蓄積しやすい部分です。

なので、ローに対する防御がきちんとできていないと、ダメージを蓄積してしまい、足が前に出なくなったり、軽いローへのダメージでダウンしてしまうこともあります。
これは、八百長ではないと思っています。

5.個々のスタミナ

選手個人によってスタミナも様々だと思いますが、立技の「首相撲」(首を掴んでのお互いの力比べのようなもの)や、寝技での組合いで、スタミナの消費量も変わってきます。
これは正に本人しかわからない部分であります。

スタミナがなくなると自分の動きができなくなります。
後半、お互いにじゃれあっているように見えるのも、お互いのスタミナがなくなってきている場合が多くあります。

まだ他にも見る部分はありますが、莫大な文書量になりますので、大雑把にまとめました。

このように、どのスポーツにおいても「八百長疑惑」はありますが、「八百長」という言葉を出す(出そうとしている)輩は、その分野で一生懸命やっている人達のことも考えてみて下さい。
それから、興行的な要因や、団体内での要因で「八百長」が行われている可能性も否定できません。

ただ、それ(八百長)が蔓延するようなことはないでしょうし(蔓延すると、その時点で真剣味も薄れてくるでしょうし、興行収益も減ると思われる)例え「八百長勝負」であったとしても、見る側がそれに気付かずに、白熱して応援できればそれで良いのでは??と思っています。

逆に「八百長」と言う人は、それなりの根拠を持って言ってもらわないと、本気でやっている人に失礼でしょう。
例えば、自分が商売をしていて根拠もなく自分の商品にケチつけられたら嫌ですよね。

ちなみに、私は今まで「八百長試合」は一度もないです(←聞いていない)

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